悪疫退散、鎮魂、再生
10月某日、私はつくばみらい市の平沼に向かっていました。その日は朝から忙しかったなぁ。週間予報では台風が直撃で花火大会など出来るのだろうかと思っていましたが、凄いですね。台風は太平洋に帰っていきました(笑)
花火は慰霊や疫病退散を願い行われていました。主催者からの依頼があり、新型コロナウイルス感染症が流行する最中に今回の花火大会を開催するに当たり、花火の本来の意味でもある悪疫退散の願いをこめて行いたいとのお話を頂きました。花火大会は新型コロナウイルスのため開催日はシークレットとなっていました。
花火大会のテーマは
「悪疫退散、鎮魂、再生」
とのことでした。
主催者側はこのような神事を行う事が初めてとのことだったので担当の方と綿密に打ち合わせをしました。前日の祝詞を奉書しそこには疫病退散と大花火の文字を記しました。さて、明日を迎えるだけになりました。
……一抹の不安がありました。それは私自身が何度も経験していることでした。
イベントに神事を組み込む…
これは本当に大変な事です。過去、何度もこう言われて呼ばれたことがあります。「今までは賑やかにやるだけ。祭の本旨をみんなに知らせたいから祭の前に宮司さんに祝詞を奏上して頂きたい」と。勿論それらは過去イベントに近い状態で行われていた祭りです。もちろん、その趣旨は素晴らしいです。なので私も喜んで伺います。しかし、いざ神事になると厳粛な空気にはならない。騒いでいる子供達、怒らない親、時間が無いので巻きでやってくださいという主催者。神事に慣れ親しんでない方々だから分かるんでが、これでは祈りにならない。だって私の仕事は仲取り持ち。皆さんの気持ちを神様に代弁するわけです。皆さんが祈りの姿勢が出来ていなければ意味があるのだろうか?とね。
会場に向かう車の中、同様の不安はまだありました。現地に到着すると開始2時間前でしたが大勢の観客と忙しそうに働くスタッフの方々で賑わっていました。
大丈夫かな?
そんな不安がよぎるなか主催者と最終チェックをしながらバタバタと準備をしました。さて、準備が終わりその時間を迎えました。
厳粛でした…
神事を奉仕するなか煩わしいノイズはありませんでした。あれだけの飲食をしていたお客さんがいたにも関わらず。きっと主催者の意図していたこととお客さん達の意識がリンクしたのでしょうね。伝わっている花火大会なのだなと思いました。写真ではわからないでしょうが、この周りは人だかりだったんですよ。シーンとしていました。そして無事に神事はおさめられました。
そして、花火大会が始まりました。
※YouTubeから
約30分間の手作り花火大会。悪疫退散、鎮魂、再生の意識で花火を眺めていました。観客も歓声を上げながら同じような気持ちでいたのでしょう。
このコロナ禍での開催は大変だったと察します。
でもね、察しますとしか言えないんですよ。分かるよとか理解できるよなって当事者じゃないんだから偉そうになってしまう。手作りのイベント。そこには資金繰りや人間関係やそこに向かっていく気持ち、各関係機関との調整などコロナ禍で様々な困難苦難があったのだろうなと察します。
察する…(人の心中や物事の事情を)おしはかる。推測する。また、おもいやる。同情する。
私は当事者じゃないから理解できる何て言えない。でも私も大勢の参拝者を迎える行事があるのでその大変さは察するなぁ。一昨年かな?台風がかすめた時の祇園祭もあったし。今年はコロナだったし。
私は人に話すときに余り好きじゃない言葉があって、先ずは頑張れ、自分が偉そうに感じるから。次に頑張ろう、自分本位に感じるし目的を共有している人にしか使いたくない。
そもそも頑張るは個人差あると思っている。自分の物差しで他人の頑張りを計ることは余り良くない。
だからこう言いたい。
あなた方は頑張ってる。だから私も頑張ろう。
と。
さて、次はお正月。今度はこちらが頑張らねばならないね。
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