先ほどニュースを見てゾッとしました。
岐阜県瑞浪市のある神社で樹齢千年を越えるご神木が倒れました。人ごとではありません。私の神社でも樹齢数百年を越える神木があります。台風や大きい地震が起きると頭をよぎります…
木は倒れていないか?
とね。
ある神社では神木の枝下ろしで住民トラブルが発生したとのニュースが流れました。
木は大切ですが住民トラブルが発生するほどになっては芳しくありません。
神社の神木の管理は非常に難しいです。それ自体が信仰の対象ですから。切っても怒られ切らなくても怒られます。ただ、境内の木の管理は宮司の専権事項ではありません。
ではどのような手続きで神木の管理は決められるのか?
神木の伐採は責任役員会議で財産処分懸案として決められます。よく氏子の同意がなければ切ることが出来ないと言う人がいますが違います。必要なのは同意ではなく理解ですね。
責任役員会では以下のことが決めることが出来ます。
総代の選任方法
宮司、権宮司及び宮司代務者の進退
不動産及び不動産以外の基本財産或いは宝物などの取得、設定、変更或いは処分又は担保
借入及び保証
主要な境内建物の新築、除却その他の変更
境内地の変更
特別会計の決定
予算、補正予算の決定、決算の承認
財産目録
規則の変更
宮司が必要と認めたこと
上記の中の財産処分に神木の伐採は該当します。責任役員の決議後に掲示板に広告して氏子崇敬者その他の利害関係人に木の伐採について広告しなければなりません。
木を切ることは簡単ではないんですよ。事務的に必要な事は責任役員の決議ですが、最も大切なのは氏子崇敬者の理解ですからね。神木を切るとなったときに全員が同意するなんて有り得ないでしょう?だからといって一人でも反対したからやめましょうとも言えません。
難しいんです。ストレスも溜まります。でも判断を間違えばこのような大きな事故が発生してしまします。特に私の神社は通学路でもありますし、道路も拡張予定ですので交通量の増加も予想されます。
街中の神社は樹木管理の判断が難しいのです。
樹木の管理は財政面でも神社の経営を圧迫します。もちろん境内の樹木には保険もかけています。ですが台風などの倒木で家屋を損壊した場合には保険はおりません。自然現象での倒木ではダメなんです。それに私が宮司に就任して以来、樹木の枝下ろしや伐採にはおそらく500万近くの費用がかかっていると思います。
よく私が言われるのはちょっとずつ枝や幹を下ろしていけば良いんだよと言われますが、そんなことをしていたらお金がいくらあっても足りません。一昨年、ケヤキを切ったときの見積もりは250万円です。枝下ろしでも伐採でもクレーンなどのレンタル費用は大して変わりません。…経営がもたないって。
…愚痴になってしまいましたが市中の神社では木の管理が本当に難しいです。しかし、大きな事故が発生してしまってはそれこそ大変です。
誰だって木は切りたくない。私だってね。切るときは切りたくて切ってるんじゃないんだよ。
そんなに責めないで。
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