オピニオン

萎む氏子組織と村の氏神神社の将来〜後編

私は未来を明るく話す村社の宮司に会ったことが無い。

私は神社界の一般的な仕組み、所謂社家と言う仕組みは否定しない。そもそも、神社は基本的に世襲ではないし(神社規則に書いてあれば別だがそんなのほぼ無いでしょ?)手続きさえ踏めば宮司には誰だって就任できるはずだ。でも、実際にはそこにたどり着くのが難しい事は身を以て体験しているのは前述の通りである。

一般の人が宮司になるのが難しいのと同様に、新しく入ってきた方々が氏子になるのを拒む既存の氏子がいるのも事実。よく、世間が言うようにこの世界は保守的で閉鎖的というのは一概に否定は出来ないが、私はそのような考え方も伝統文化を守るためには必要なことだとも思っている。古い地域には仕来りもある。そのような仕来りに基づく風習や考え方を新しい考え方によって一気に変えられることの抵抗感があるのも一つの事実。なので、社家や氏子の関係性は神社の歴史に基づく必要なものだと理解している。

ただ、前回書いたように神社の財産問題などで新しい氏子を受け入れないと言うのはナンセンスなこと。神社の財産は氏子のものではない。今まで神社を守ってきたという自負もあるだろうが、その事で氏子数自体が萎んでしまい神社を守る者がいなくなる。結局は神社の維持管理が出来なくなってしまっては本末転倒である。核家族化が進む現代、今までの家族構成は今後の日本には望めない。家庭内での伝統文化の継承が危機を迎えている。幸い守谷市は新しい住民が多く、氏子区域は人口増加傾向にある。そのような方々には地域の行事や伝統に興味がある方も必ずいるはず。そのような方々の力を頂かないと将来は…

それは神職だって同じ事。我々の業界にも新しい力は必要な事だと思う。新しい事をしようとする神社、先進的な考えを持つ宮司は時に業界内で揶揄されてしまうがそれが信仰に基づいて氏子が認めて行われているならばチャレンジすることは間違いでは無い。御朱印だってそう。カラフル御朱印は最初は否定的な方々一杯いたけど今では皆やってるでしょう?否定した人だってさ。そんなもんだよ。だったら否定するなよって(笑)

持論だけれど、
何かが失われようとしている時は何かを生み出さなければならない。

無くなったままでは最終的には何にも無くなるよ。生み出さないと。それが何なのかを必死に探さないと時代の変わり目にも飲み込まれてしまう。何はともあれ神社は無人より有人の方がいい。理想はどの神社にも必ず常駐宮司がいることだが…無理だろうな。職業的に魅力が無ければ人が増えるわけが無い。神社と寺院の奉職人数を比較すればなるほどなって思うよね。

で、この神社の維持管理については大きな誤解が多い。それは氏子もだが神職も同様である。私は法律論で法人を運営しなければならないと考えている。神社の財産は法人のものであり個人や管理者の物では無い。ただ、昔から存在する神社などは法整備が十分でなかった頃の宗教法人法で今に至るまで昔からのやり方とか風習とかで管理していたんだろうなと容易に想像できる。

以前、某宗教団体が事件を起こしたときに宗教法人法が改正されて財産管理に関して厳しくなったそうだ。当時の宮司が私に言っていたことは、「昔からある神社を他の宗教法人と同じにされては困るよな」だった。当時、社家じゃ無い私は神社だろうが寺だろうがナントカ教だろうが同じ宗教としか思っていなかったので意味が良く分からなかったが、いまになってあぁそう言う事なんだなと思った。昔からあるんだから一緒にするなよって言う感じかな。

ただ、法整備された現在はその枠組み内で仕事をしなければならないのは代表役員宮司の仕事。全神社の管理は宮司の責任だが、無人の兼務神社は民法上の業務委託のような形をとって管理をお願いしているのが現状である。神社の財産管理は、本務神社であれば宮司が管理するだろうが、兼務神社は氏子に管理をお願いするのが一般的なのでなかなか兼務宮司はその運営方針に口を出すことが難しい。普段いないくせにって言われることが多いと思う。それも、宮司と総代の普段の信頼関係が成り立っていればそんなことも無いけれど、総代が交代制などの神社では物事の判断が地域で決めないととなってしまう。そうなればもう無理だ。氏子皆が集まって意見一致なんてなかなか無い。

神社の運営は会社や町内会のように分かりやすいもんでは無い。端から見ると難しい世界かもしれないな。これはお祭りを神事とイベントは違うと言ってもなかなか理解されないのと似ているかもしれない。台風の時にそれは痛感した。イベントは集客を目的にしているが、神事は集客などは目的としていない。でも、一般世間は違いなど分からない。そのような方々がお叱りの電話を入れてきたんでしょうね。台風接近するのに祭をやるなってね。

祭礼の意思決定のシステムも端から見ると分からないだろうな。全部、神社が決めてるんだって思われるだろう。例えば、お宮参りも神輿渡御も奉納行事なので主体は氏子なんですよ。神社が子供生まれたから神社に赤ちゃん連れてこいとは言わないのと同様に、台風でも神輿を出せとは言わない。あくまでも氏子さんが決める事。赤ちゃんが生まれたら自分の意思で赤ちゃんとお参りをする、台風が来ても氏子が大丈夫と判断すれば神輿をだす。氏子がそれを奉納するならば宮司は神様との仲取り持ちするのが仕事。それらは他人のためにやるわけでは無く、集客を目的とするわけでは無く、御利益を授かりたい氏子自身達の為にするわけです。うーん、難しい文章になってしまったよ。

さて、このように神社の管理は歴史的なものもあって難しいけれど、このままでは神社がどうなってしまうのか氏子に理解をしてもらうことが初めの一歩かな。いつも書いているけれど、相互理解、信頼関係を醸成するには話すことだと思う。いくら有名な神社の参拝者が多くても、信仰を下支えする地域の神社がダメになれば将来的に神社界は瓦解するんじゃ無いかな?

日本全体に小規模神社があるから氏子崇敬者が身近に八百万の神様を感じてもらえるわけで、氏神神社が無くなれば地域信仰が失われて地域の氏神様や家庭祭祀に興味が無くなった氏子が大きい神社に崇敬の念をもってお参りに行く絶対数が上がるとは思えない。もう観光感覚になってしまうんじゃないかな。

この業界の見通しは暗い。しかし明るくするのは自分達の仕事だと言うことを忘れてはならない。

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