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萎む氏子組織と村の氏神神社の将来〜中編

頑張れや頑張ろうはNG

頑張れとか頑張ろうって言う言葉は時に上からの目線になり、事の当事者に寄り添えない。ましてや宮司と氏子という関係性で頑張れと言えば突き放しているように感じるし、頑張りましょうって言えば宮司が先走っているように思われる。これは、自分自身で経験したことなんだよ。

八坂神社でも一地区が氏子から抜けてしまった苦い経験がある。その地区の代表から氏子を抜けたいと言われたときは説得したなぁ。でもね、最終的にはみんなもう嫌々なんですよと言われた。それは皆の意見か、その人の意見か分からない。ただ、嫌々と言われたらもう引き留めることは出来なかった。一地区脱退しました。その後、八坂神社の役員会の席で頑張りましょうってハッキリとした言葉は使わなかったけれど、ニュアンス的にそのような話しをしたら、挨拶の後に何人かの総代さんから挨拶の意味が分からないとか、皆も年配で宮司さんみたいに若く無いなか奉仕してるんだよとか言われました。その時に自分の若さ、未熟さを痛感しました。相手の立場や事情を考える、先ずはこれが大切です。

今はこのような意識でいます。一緒に考えましょうって。これが正解か分からないけれど。頑張れ、頑張ろうは私の中では禁句です。

だから、これから書く文章は人によっては私を冷たい人と感じるかもしれない。でも、氏子さん達に現実を知ってもらうためにも私は代表役員として氏子がいなくなってから起きるかもしれない事、それを回避するために必要な事を伝えてるようにしています。無人の神社が将来に残るためにも現実を知る事から始めなければならないと思います。その上で氏子として出来ること、宮司として出来ること、氏子と宮司が一緒になって出来ることを一緒に考えましょうって言うのが今の私の考え方です。

兼務神社でのやり取り

年末年始にこのような会話が複数の兼務神社の総代方との間で行われました。印象に残ったやり取りを纏めて書きます。細かい所は抜きにします。これは一つの神社だけのやり取りじゃありません。複数の神社でのやり取りを纏めたものです。


氏子が減る一方でこれからの神社を維持できない。子供達の代になったら神社に興味は無いし神社がダメになったらどうなんだ?

先ず、神社は宗教法人であることを前提に話しをします。宗教法人である神社が法人格を維持するためには色んな用件がありますが基本的に四つあります。神社的に分かりやすく言うと

●代表役員(宮司)がいること
●信者(氏子)がいること
●礼拝施設(土地、建物)があること
●儀式(祭礼)をすること

などが挙げられます。それらが欠けると宗教法人の解散事由に当たり解散命令がくるかもしれません。

昨年の台風で建物が傷んだけれど、氏子も少ないし建てかえなど出来ない。石碑のような形に出来ないか?

現在の宗教法人法では礼拝施設がないと法人格が認められません。以前から石碑のような場合には認められますが、現在の法律だと難しいと思います。

解散するとどうなるのか?

最終的には神社の財産は全て国庫に帰属します。

ご先祖様の頃よりあるのにそんなに簡単に解散してしまうのか?

宗教法人は大きな枠では公益法人の一つです。神社の祭礼や維持管理が出来ない場合には、法人の事業を達成できないと見なされます。もし、昔からある地域の財産を守ると言うことであればどのように解決して行くかを考えなければなりません。

では、どのようにすれば良いのか?

神社を維持するためには二つ。人とお金です。先ずは人です。守谷市は人口増加傾向なのに氏子は減少しています。この地区でも、町内会は100軒以上あるのに氏子は20軒しかいません。新しく越してきた方々に声をかけて氏子になってもらうところから始めた方が良いと思います。

氏子が増えたら氏子の持ち分が無くなって最終的に財産が減ってしまうだろう?

その話しは他の神社の氏子さんからも耳にしますが大きな誤解です。宗教法人に持ち分はありません。例え神社が解散になっても氏子ましてや宮司に神社の財産が入る事はありません。もし、財産を勝手に山分けするようなことがあったら横領になると思いますよ。なので、氏子が増えても既存の氏子の持ち分が減るなんて事はありません。

では、今まで氏子は神社の仕組みを勘違いしていたと言うことか?

そうです。

しかし、新しい住民が氏子になって何のメリットがあるのか?お金を出す一方で何ももらえない。

それはどこの神社でも同じ事だと思います。氏子さんは何かの金銭的メリットを求めて氏子をされているんでしょうか?新しい住民の方々も崇敬の念篤い方や地元の伝統文化に触れてみたいという方もいると思います。そのような方々のお力を頂かなければ問題解決の糸口は見つからないと思います。先ずは声かけからだと思います。

我々は年寄りで声かけも大変だし、ましてや若い人や新しい住民が氏子をするとは思えない。

それは一概に言えないと思います。現に私の本務神社では地区に転入した新しい住民にどんどん氏子に入ってもらうように声かけしています。そして実際に氏子になってもらっています。

他に神社を維持する案はないのか?

実際に解散事由が発生した場合、最終的に神社庁では解散では無く合併の措置をとると思います。

合併?

既存の氏子で神社を維持管理できなくなった場合に、近隣の神社に合併して維持管理すると言うことです。

そうすれば今まで通りにこの地域で神社を管理できるのか?

いや、維持管理能力が無いと見なされて合併しますので、維持管理は合併先の神社が行うことになると思います。法的責任も合併先の神社が担うので。ただ、神社の維持管理はお金がかかることです。樹木の剪定や鳥居、建物の維持管理など。なので合併先を探すのは容易ではないと思います。

先行きは暗いな。

この地区は人口が増えています。過疎地域では氏子に誘う人すらいないのが現状です。まだ将来性がある地区です。地区の総代さんに氏子が増えるようにお声かけ頂くのが第一歩かと思います。


この会話で何を感じ取れますか?これは私の管理する複数の神社での一コマです。うちだけかもしれませんが、同じ会話を何社かでしていますので同じ問題を他の市町村でも抱えていると思います。いや、うちより深刻かもしれない。同じ職業をしている方々はどう感じますか?いやいや、そんな問題はあなたの神社だけで宮司の力量不足だよってなりますか?少なくとも私がこの業界にいて将来を明るく見通している村社の宮司に会ったことはないかな。

では、この会話に関する詳細は後編で。

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