神社と電子マネー
消費税が10%に増税され、世の中がキャッシュレスになり始めました。何とかPayがありすぎてついて行けませんね。でも知っている方は還元の恩恵を受けることが出来ますのでお得です。
因みに私は…まだ使ったことが無い。時代の流れなので覚えた方が良いんでしょうがね。なかなか…
御朱印もQRコードでダウンロードし印刷する神社がある昨今、神社界にも大きな時代の波が押し寄せていると思っています。
で、私が思うに神社界で電子マネーは今後どのような位置づけにならなければならないのか?ちょっと思うことがあるので書いておきたいです。
神社に電子マネーはありなのか?
神社に奉仕している宮司として、法人の代表をつとめている経営者として、私の意見から言わせていただくと、
あり
というより、その流れになっていくんではないか?考えています。
そう言うと、
えっ?
思う方も大勢いると思います。物事の大きな変わり目にいる人はこの疑問の繰り返しをずっとしているんだと思います。賛否両論でしょうが私なりに考えてみました。
賛成の理由
1.時代による価値観の変遷
ここでは絵馬を中心に取り上げたいと思います。
絵馬は現在では皆さんが願いを込めて神社に奉納する物です。何故に絵馬、馬の絵でもないのに絵馬というか言えば、元々絵馬は神様に生きた馬を奉納する風習が起源と言われています。元々、絵馬ではなく生きた馬だったと言われています。それが平安時代の頃に絵に描いた馬を奉納するようになります。それが庶民に伝わり身近な願い事を記して奉納するようになったと言われています。
つまり、ものの価値観は時代によって変わっていきます。馬が絵馬になったときにもその時代で相当な賛否があったんじゃないでしょうか?神社に奉納するものが幣帛、馬、米、お金とその時によって変わっていくものであれば電子マネーも無しというわけでは無いと思います。要は神様に対する感謝の念、その時その時代によって価値のあるものを神様に納め、感謝の念をどのように表すかであってそれは時代の流れで変わっていくという事です。これでなければ行けないんだというものではありません。時に神楽を奉納することもあれば、現代ではダンス、舞踊など様々な芸能を奉納することもあります。
2.経営の明確化
電子マネーで様々なものが奉納されるようになればしっかりと記録が残ります。神社管理をよりクリアにして経営することが出来るようになります。
3.銀行の頭硬貨整理手数料による経営圧迫対策として
近年、銀行に預け入れをする際、硬貨の場合には店頭硬貨整理手数料を取られるようになりました。それは金額ではなくて枚数です。ある銀行の一例ですが
1枚〜500枚 無料
501枚〜1000枚 540円
1001枚〜1000枚 1080円
2001枚以上 1620円
以降、1000枚毎に540円を加算
とあります。枚数です。つまり、1円玉を1000枚預け入れすると540円が手数料になります。
銀行に預け入れするのに手数料で最大54%も取られます!
ご存じの通り、神社のお賽銭は基本硬貨です。今の制度では多くが手数料で取られてしまいます。皆様から納められた大切なご浄財が神社の維持管理に充てられなくなります。
4.賽銭泥棒対策
テレビでもよく報道されていますが、神社では賽銭泥棒の被害が存在します。当社でもありました。
何度も捕まえたことがありますが、かなり緊迫しますし危険が高いです。お巡りさんにも注意されたこともあります。不幸なことに過去には賽銭泥棒を捕まえようとして殺害されてしまった神職もいます。電子マネーになればそのような事も少なくなると思います。
様々な理由がありますが、私は時代の流れや様々なメリットと考えれば神社界も電子マネーの流れが出来ていくと思います。しかし、心配する所もあります。
懸念の理由
1.神社はアナログな部分も大切
例えば、絵馬に願い事を書く、お神籤をひく、実際に人が行為を行うことで実感できる仕合わせ、楽しさもあると思います。お賽銭をお賽銭箱に入れて手を合わす。お供え物をきちんと神前に供えて感謝をする。
これは長い間続けられた信仰の行為であり、何でも便利を求めていて良いのだろうかと?という意見も当然出て来ると思います。インターネットが普及したときにバーチャル参拝が話題になりました。インターネット上でお参りしてお神籤をひく。これらの行為は神社本庁より指導が入って禁じられています。勿論、インターネットによるお守りの頒布もです。当社も御朱印帳の郵送頒布などはしていません。
私が考える上記のものの境目は、実際に神社に詣で、参拝をし、神徳に感謝の念を表しているかどうかが大切なところなのかなと思っています。
2.バーコード貼り付けによる詐取
ニュースで報道されていましたが、中国ではキャッシュレスが進んでいるようです。その普及により、バーコードの張り替えによる電子マネーの詐取が横行しているようです。神社は24時間神職が社務所に詰めているわけありませんので、夜間などにそのような行為が行われても気がつかないと思います。所謂、新手の賽銭泥棒ですね。
業界内での議論が必要
先日、様々なところで神社界における電子マネーの扱い方が議論されていると聞きました。
ただ、様々な話しを聞いていて神職が電子マネーがダメだ!とかけしからん!とか言うなら銀行振込の祈祷受付は止めなよって思っちゃう。新しいものが怖いんだな。インターネットが普及した頃も同じ議論をしていたもの。インターネットはけしからん!とかね。僕も言われたな。メールで祈祷の受付はだめだろう?って。じゃ何でFAXならいいの?って聞いたら答えはなかったな。
神社界の将来は相当厳しいと思います。特に小さな神社や無人の神社。神職のなかにも柔軟な考え方が多く出ています。信仰の場を守るのを前提に様々な時代の流れに合わせていくことも必要だと思います。神社を守るためにも。
と書いてみましたが、私自身がまだ使ったことありません。いつ使うことやら…
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