先ずはこの度の台風15号で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
各地の神社でも大きな被害が出ているようです。一日も早い復旧復興を心よりお祈りいたします。
神社と台風
神社はお寺とは違い大木などの樹木が多い。鎮守の杜と呼ばれるくらいだからね。皆さんも大木がなければ神社としての佇まいは感じることができないんじゃなかろうか?
この時代、大木の維持管理が大変厳しい。神社の木は切ったら怒られる、切らなくても怒られる。一体どうしたら良いのやら…この10年で境内の樹木の維持管理で一体いくらのお金を支払ったことか。もちろん、神社の木は切りたくはない。だが、枯れてしまった木などやむ得なく伐採することもある。やむ得なく切らざるを得ない時しか切らないことにしている。鎮守の杜を維持することも宮司の役目だからね。でもね、もし事故が起きたらって考えると…
夏場は台風が来る。これがまた胃が痛くなる。もう20年も神職をしているといろんな経験をしたことがあるわけで。16年くらい前か?やっぱり台風で大木が根こそぎ倒れて隣のアパートに倒れたこともある。大きな枝が落ちて屋根を破損してしまったこともあるし、強風で自動車の窓ガラスを割ってしまったこともあるし、幸いなことは人を怪我させてしまったことがないことか。
なので、台風が接近なんてなると気が気でない。そして今回の台風15号接近の報。首都圏直撃では過去最強クラス。これは…でも人間に出来ることはそんなに無い。自然には逆らえない。
夜、出来るだけの備えはして自宅に戻る。でも、心配で何度も神社にもどる。あの窓閉めたかな?トイレは鍵かかっていたかな?そんなことの繰り返しで。そして、自宅であの強風の音を聞く。もう外に出るのは危険なので諦める。
そして眠れない夜が明けて午前7時。まだ暴風圏内だったが心配で神社を確認してみようと自動車で出かける。妻にはまだ危ないからやめたらといわれ、いや車で前を通るだけだからと。そうしたら…
あちゃー道路を塞いでる。ひとりの力じゃ動かない。と、困っていたらすぐに道路パトロールの方がいらして助けてもらいました。三人でなんとか移動。助かりました。で、神社をみてみると…
あー想像以上に被害は大きい。現状ではどこまでか確認するのは何が落ちてくるかわからない。自分自身が危険なのでとりあえず強風域になるまでは自宅待機に。道路の大きい枝だけどかして一時帰宅。
…まいったなぁ。近所に迷惑をかけていないだろうか?屋根とかは大丈夫だろうか?鳥居は?そして10時過ぎ。暴風域を抜けたことを確認し神社へ向かう。何はともあれ早急に復旧作業をしなければ。
作業を始めるとすぐ総代さんたちが駆けつけてくれた。心強い。
作業がはかどる。チェーンソー持ってきてくれてどんどんと片付けてくれて。
午後になると家族も合流。たまたま振替休日だった長男も参加。
その間、神社の被害状況を確認して見たけれど、屋根に損傷なく雨漏りもなく落ちたものは建物を避けてくれたようでした。ただ、電話線が断線してしまって。4日間、電話が不通の状態で仕事に支障発生。でもけが人が出なかったんだから良しとしなければ。
夕方5時までにはなんとか綺麗に片付きました。
今、街が都市化して神社のご神木などの維持が厳しい時代になりました。たまに神社の木が丸坊主になっているところも見かけます。きっと色々と事情があるんでしょう。山の中の神社ならもし倒木なんてことがあってもリスクが少ないかもしれませんが、街中の神社では大木の維持管理ってのはもうどうしようもありません。どっちに倒れてもアウトです。だからと言って切ってしまうわけにもいきません。神域の尊厳にも関わります。八坂神社の木は市の保存林にも指定されていますしね。もうジレンマです。答えが見出せません。台風が来るたびに…
切れば怒られる、切らなくても怒られる。だから、今の私は誰ば見ても危ないですよねってなった時は対処しようとルールを決めてます。
昨年、夏の祇園祭のときに台風がかすめました。その時に枯れ枝が大量に落ち、それを踏まえて総代さんたちと相談し、安全管理のために枯れた樹木の枝おろしの見積もりをお願いしました。2社にお願いしました。同額でした。
2,500,000円…
我々のような小さな神社には厳しい数字です。大木の維持管理は大変なんです。
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