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祭の意味、祭とイベント、氏子会と実行委員会

天気は怪しい?

令和元年の祇園祭が始まりました。天気が怪しくなってきましたね。また台風ですか?

各地域でも数週間前から子供達がお囃子の練習をしています。教えているのはもちろん大人です。神社のお祭りは地域の方々が、老いも若きも、男も女も、大人も子供も、親も子供も、同じ目的を持って奉仕する数少ない行事だと思います。

楽しさが生まれるには苦しさが必要です。苦楽はセットなんです。練習の大変さ、近所付き合いの大変さ、上下関係の大変さ、そのようなものを勉強しながら祭りを通して人は成長していきます。地域を豊かにしていきます。そして技術を磨きます。それが地域の伝統文化になると思っています。大変さがなければただの楽(らく)になってしまいます。

よく、当日参加したいと各団体から問い合わせがあります。いま、八坂神社では同好会、愛好会、保存会などの参加をお断りしています。なぜなら祭りは当日だけ楽しむものではないからです。神社と氏子のお付きあいは深いものです。祇園祭だけではなく氏子は1年を通して様々なお付きあいをします。楽しいことばかりではありません。物心両面に支援をして下さります。祇園祭はそのような氏子さんのハレ舞台です。その場を提供するのが神社や総代会の役割でもあります。

当日、同好会、愛好会、保存会などの方々が一緒にお祭りを楽しみたいというのは、気持ちは分かりますが氏子の気持ちを考えるとそれはないでしょう?となります。

神社は保守的で余所者を入れてくれない閉鎖的な所だ

などと言われるときがあります。そのような方々はお祭りの本質をご理解頂いていないのだと思います。祭りが実行委員会などの制度で行われているなら良いでしょう。みんなが楽しく、参加費を払って、誰でも参加できる。御霊を入れない神輿を担いで楽しむ。それはそれで良いでしょう。否定しません。地域イベントとして必要だと思います。

ただ、氏子が主体となる神社の祭りは違います。神社の神事は氏子が1年間の神社に対する奉仕の中の一行事に過ぎません。祇園祭もそうです。1年間のお付きあいの一行事に過ぎません。それが賑やかであり楽しそうに見えるかもしれませんが、氏子がお金を寄進し準備をし、神様に祈りを捧げる神事になります。それは氏子の大切なハレ舞台でありハレ姿を披露する場でもあります。祭りの本質は

神人和楽

です。

氏子が神に祈り人と神が共に楽しむ。これが祭りの本質です。人だけが楽しんでいたらそれは神事の祭りではなく単なるイベントです。部外者を排除しているわけではなく、神社や氏子の関係性や仕組みの中で参加できる権利にある方が参加していると言うことです。権利があると言うことは、氏子さんは神社に対する日常の義務(奉仕と書いた方が分かりやすいかな)もあるわけです。それは今の時代には大変なものだと思います。今日も氏子さんは泊まり込みで神輿の警備をしています。

なんで参加できないんだ!神輿を担ぎたい!山車を曳きたい!と問合せが来ます。神社に問合せをしても答えようがありません。もし神輿を担ぎたいならば地域の方々と交友を深め信頼関係を育み認められて初めて参加できると言うことでしょうか?氏子さん達もそこまで部外者はダメとは言いません。大切なのは仕組みとルールを理解してもらい、地域の中に溶け込んで認めてもらう。そこがスタート地点です。

祭りを楽しみたい。気持ちは分かります。ただ、私の立場から言えば神社の祭りは楽しむのが主旨ではなく神様に祈る行為だと言うことをご理解頂きたいです。

「祭」の意味、その漢字の成り立ちを調べて頂けばご理解いただけるかと思います。

私はご理解いただけない方には最終的にはこう言います。あなたはどこかの神社の氏子ですか?もし氏子ならその地域の神社の祭りを盛り上げて下さい。それが地域の豊かさ、誇り、郷土愛になります。そのためのアイディアならいくらでも助言しますと。

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