私が宮司になるときに

私が宮司になるときに ⑰反対派と賛成派

あの日にあった出来事

私は宮司になることが許されたあの日、会議で何があったのかを私は知らない。

そんなある日に私は用があってある方の家に伺うことになった。その方は大変お世話になった方だった。

「上がってよ」

いつも私の話を聞いてくれていたその方はいつも私を支えてくれていた。

ある日の神社の飲み会のこと。酔っ払った年配の方がその方にこう切り出す。聞きたくなくても聞こえてくる。

「下村に好き勝手やらせるんじゃねぇよ」
「神社がめちゃくちゃにされちまうぞ」

「大丈夫ですよ、私が常に彼を見てますから」

私はその方が一所懸命年配の方をなだめているのは分かっていたんだ。なんでかって?なぜなら、そんなときに私を心なく思う人は必ず一緒になって私の文句を言っていたからね。その方はいつも二人で話すときに何とか下村さんがやっていけるように応援するからなと口癖のように言ってくれていた。

「話がまとまって良かったね」

「これも皆さんの支え合ってです。本当にお世話になりました」

そしてその方は私の知らないあの日の話を始めたんだ。

反対派と賛成派

あの日の話はこうだったらしい。後任宮司について私の名前が挙がった際に年配の総代を中心とした反対派と若い総代を中心とした賛成派に分かれていたらしい。

年配の総代の意見はこうだ。
「下村は若すぎて能力が不十分、時期尚早だ」
「よそから宮司を呼んだ方が良い」
「神社を好き勝手にされてしまう」
「神社を乗っ取られてしまう」
「神社は氏子のものである」

それに対し若い総代達はこう返したらしい。
「あなた方からみたら誰だって若くなるだろう?」
「時期尚早という人は何時までも時期尚早という」
「妻と子供を立派に食べさせてる者に能力不十分は失礼だ」
「これまでの下村の実績を見てやれ」
「氏子は宮司を支える立場だろう?」
「地元に下村がいるのによそから呼ぶ必要なんて無い」

という話らしい。

そして、話が出きった頃に総代長が結論を出しましょうと下村さんを宮司に推薦することでよろしいでしょうか?と話をまとめて会議が終わったとのこと。

「みんな、下村さんを宮司にしようと頑張ってたんだよ」

「ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります」

同じ事をしていても世間の評価はこうも違う。いつも思うんだ、この時の気持ちを忘れないでいようって。

ピックアップ記事

  1. 私が宮司になるときに ※大切なことです。本編の前にお読み下さい
  2. 萎む氏子組織と村の氏神神社の将来〜後編
  3. 自分の御朱印ルールで八岐大蛇御朱印が出来るまで
  4. ブログを始めました
  5. BSテレビ東京の『発見!ローカル線聞き込み発見旅』で紹介されます。

関連記事

  1. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ㉑あとがき〜人生はTrial&Error

    人生はTrial&Error。試行錯誤だ。あとがき今まで何度聞…

  2. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ⑦宮司の葬儀

    家に帰ってきてから私の父はJAに勤めていた。そこでは色んな仕…

  3. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ⑭報告

    結果を報告に神職同士での決着はついた。私は守谷市内の9社の神社…

  4. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ③異変

    異変、それは突然のことだった年月は巡り平成21年4月。八坂神社の…

  5. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ⑥宮司の死

    私の行き先は何処へそれからわずか2日。私の携帯に連絡があった。…

  6. 私が宮司になるときに

    私が宮司になるときに ④危篤の知らせ。そして許せぬ一言

    突然の知らせ平成21年4月13日。この日は一言主神社の春の大祭…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

ピックアップ

  1. 街中の神社では神木の管理が大変なんだ
  2. 萎む氏子組織と村の氏神神社の将来〜後編
  3. 自分の御朱印ルールで八岐大蛇御朱印が出来るまで
  4. ブログを始めました
  5. 私にとっての震災10年

アーカイブ

  1. 健康

    第二波の前に再確認
  2. 御朱印集め

    気多大社の御朱印
  3. 健康

    ファスティング5日目と冷え性
  4. 試行錯誤

    少数精鋭の私達
  5. 八坂神社

    年末にむけたコロナ対策の一環で
PAGE TOP