宮本卯之助商店の営業さんがこのブログを見ているのでネタにしてみよう(笑)
記録を辿って
文化財の申請をするときに神輿史の調査をした。第三回神輿修復浅草宮本卯之助商店と書いてある。
あぁ、あの浅草の老舗か。そういえば一度笛を買いに行ったな…くらいの認識で。勿論、名前は知っていたけれど、それまでは要件がなかったのでお付きあいがなかった。でも、改めて確認すると、八坂神社の祭具は宮本卯之助商店のものが多い。神輿、太鼓、獅子頭を始め色々と関係性があってね。今回、第四回の神輿総修理はどこに頼もうかとなったときにやっぱり、40年前に修復してもらった宮本卯之助商店さんに見てもらうのが一番だろうとなった。それから今に至るまで、宮本さんに色々とわがままを聞いてもらっている。神輿、祭礼用具の専門家との話は別の角度からの知識が増えて行くので豊かになる。太鼓判の話なんて面白かったな。知識を得ることは神職として生きていく以上何ものにも代え難い。いつか一緒に飲んでみたいね。その時は宮司と営業じゃなくただの祭り好きとしてね。
神輿の調査
早速、私は神輿の修理のために宮本卯之助商店に電話を入れた。平成28年5月、若い営業がやって来た。早速、神輿を見てもらう。
総代さん達も熱心に話を聞いていた。話が上手な営業でね、話の節々に祭りが好きなんだなって言うのが滲んでいる。神輿の形、構造、装飾など事細かに話してくれたっけ。自分達は当たり前になっているものに対しての価値を分からないときが多い。こんな時、第三者、とりわけ専門家の意見て言うのは効くんだよね。この話を聞いてから神輿の扱いがより丁寧(雑だったわけじゃないよ)になったっけ。今だから言うけれど、この時にコソッとどのくらいかかりそうなの?きいてみた。これくらいですかねって言っていた。何でもうちの神輿は他のよりもここがこうでそこがそうでで……まぁ良いでしょう。とにかく良い神輿らしいですよ。
プレゼン
見積もりが届いた。隠す必要も無いと思うので、金額は1,090万円、最終的には追加もあったので(追加は総代さんの熱意だね。)1,150万円。この金額で先ずは総代会にプレゼンが行われた。今度は上司を伴って二人で詳しい説明を受けた。テーマは「謹製当時の姿に蘇らせる」だったかな?
神輿の現状と修理の内容が説明される。
宮本卯之助商店の営業にお引き取り頂いた後に総代会が開かれ神輿修理について検討された。金額が金額だけにどうすべきか話し合ったが何とか将来世代に残さなければならないと言うことで総修理と言うことで話が纏まった。ただ、私はここで一つだけ意見を言わせて頂いた。
「今日は二人の総代が欠席しています。大きな事業になるので総代全員の賛成で行いたいと思いますので後日この内容を元に欠席した総代を集めてもう一度会議をします。反対者がいたら再検討でお願いしたです。」
この日の会議は発言を細部に至るまで議事録に残し、後日欠席した総代と責任役員と私とで先日のプレゼン資料と議事録をもとに総代会の結果を報告し意見を求めた。欠席した二人も賛成と言うことで、私はそれでは氏子に神輿総修理の決定を報告してもよろしいかの問いによろしいと言う返事を全員からもらったので祇園祭の全体会議で周知する旨の意思確認をした。まぁそれからひとり、言った言わないがあって大変だったけどさ。いや、みんなで言ったから。
そして、全体会議の日、再び宮本卯之助商店の営業に来てもらい氏子に向けてプレゼンをしてもらった。
そして修理前の最後の祇園祭だ。
祭が終わり神輿が旅立った
2016年8月。神輿は総修理のために浅草へと向かった。何ともいない寂しさがあったな。帰ってくるのは来年の7月。お祭りの直前だ。私達は神前で神輿の修理を報告した。
そして職人によって神輿が運び出される。
後は宮本卯之助商店さんを信じるだけだよ。
<次は修理見学編で>
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