一般人が宮司になるまで

一般人が宮司になるまで ㉛これまでを振り返ってみれば

6年間の記録でした

平成19年の正月を迎えた。

おかげさまで初詣の行列は境内だけでは収まらず、前の通りにも行列が出来るようになっていた。5年は我慢して頑張りなさいと研修先の宮司さんに言われてから6年が過ぎていた。少しずつだけど結果が出せていたのかな?神社が賑やかになる様をみて氏子さんが喜んでくれていた。役員さんにはお正月を迎える度に増えていく参列者の人波をみては応援してもらえた。結果が出てきた事で世間から八坂神社を見る目も変わっていくのも感じた。

神職になり6年。振り返ると色んな頃があったと思う。それらはきっと普通の仕事に就いていたらなかなか経験できないことばかりだ。人の厳しさ、人の優しさ、人の繋がり、人の力、私の住んでいる地域には昔から神社を中心に培われた人間付き合いがしっかりと根付き、それらは地域を形成していくのに当たって重要な役割を与えていた。そこに神職して入り込んだ私は、不要な異物だったのか、活力を与える栄養だったのか。いつものフレーズだけどそれは氏子さんに判断してもらおう。

宮司になる必要性って?

私はあの6年間を努力したとは思っていない。そもそも努力って言葉は自分で言うものでは無く、周りの人がそう感じるときに使ってもらう言葉だと思う。ストイックって言葉もあるけど自分でストイックなんだって言ったら格好悪いよね。私にとっての神職のスタートは仕事として食べて行くにはと言うところから始まったので、語弊があったら申し訳ないけれど私は別に宮司になりたいって訳じゃ無かった。宮司って何だか知らなかったしね。世間知らずだったんだな。でも、宮司って世間だけではなく、この業界のなかでも重要なポジションなんだね。宮司の発言力って大きいと思います。SNSをやっていると良く分かる。この業界に入ってから良く分かったけど、まぁ宮司になりたくてもなれない人はいるし、宮司になりたくて兄弟で争う事件なんかもあるし一体何なんだか。

ただ、何年も禰宜として奉仕していると、宮司でなければ職務が難しいと思うようになってきたのも事実で。仕事をする上で不都合がどうして起きてくるんだな。例えば社用車の購入や保険の手続きなどは代表役員である宮司にしか出来ない。代表役員の印鑑が必要になってくるのでね。仕事をすればするほどだんだんと事務的な面で不都合が生じてきたのは感じたな。代表役員が不在で仕事をするのは色々と滞るのも実際で。個人名義の車や保険では地鎮祭などの出張などで事故があったときに対応できない。車を購入するときにディーラーの営業マンを何度も宮司宅に連れて行ったっけ。

「これだけの金額で社用車を購入したいので判子を押していただけませんか?」

なんてやりとりは大変だったな。

宮司が重要な役職なのは現在では十分に理解している。神社に必要な大切なポジションなのも分かっている。でも、なんだかなぁ釈然としないものが今でも心の片隅にあるんだよな。宮司は自分でなるものではなく、皆さんに認めてもらってなるものだと思うんだ。神社の規模や仕組みによって様々だけど、この社家って言う世界では当たり前のように親から子へその役職が譲られていく。将来、神社を守っていくためには必要なシステムかもしれないけれど、どれだけの人がその重みを分かっているのだろうか?親から子へその役職が譲られていく時に一種の緩みが生じるのではないか?私はある社家の親子や昨今の事件をみていて率直に感じたな。目線が違う方を向いてるんじゃないかと。

いつか自分の子供が後を継ぐって言い始めたときに少し考えていることがある。もちろん子供の意思を尊重するけれど。私から後を継ぎなさいと言うつもりは全くない。

私が宮司になるときに

これから私は宮司になるときの2年間の事を綴ります。『一般人が宮司になるまで』ってタイトルでしたが『私が宮司になるときに』って変えます。2年間に色々ありすぎました。一般人が宮司になるときに毎回こんなことがあるのかって読んでる人に思われると他の社家の方々に迷惑をかけてしまうので。あくまでも私のケースです。

あの6年間は本当に勉強になりました。宮司にも総代にも地域の方々にも本当にお世話になりました。世間を知らない私には大切な年月でした。物事の本質なんてそんなに変わるわけじゃない。ものの見方、とらえ方で少し変わってしまうだけ。方法論が違うだけ。目標は同じところへって気持ちでさえいれば迷う事は無い。目標がぼんやりしてしまうと氏子が彷徨ってしまう。その目標を大きくはっきりさせてあげることが宮司の仕事かな?

最後に私が感じたこと。宮司って社会的地位を認められている存在。だからこそ謙虚であらねばならない。でも、言うことは言わなければならない。難しいポジションだ。

実際はもっと色々ありましたがもうこの辺で良いでしょう。

ここまで本当にありがとう。では次のお話で。

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