一般人が宮司になるまで

一般人が宮司になるまで ⑯初めてのお正月

不慣れな初詣の準備

年が明けて平成15年。私は始めて仕事をするお正月を迎えた。

年末の総代会で氏子さんもお正月に向けて、甘酒、古札の焚き上げなど様々な面でサポートしていただくことになった。本当に有り難い。

お正月の準備は忙しい。あの話し合いから元日まで2ヶ月を切っていた。その期間で年末の神宮大麻(神棚のお札)の頒布や初詣の授与品の準備をしなければならない。

取り急ぎしなければならなかったお正月の準備は主に三つ。

●一つは御祈祷の準備
お札の注文と祝詞の準備。祝詞の準備が大変だった。祈願にあわせて祝詞を作文しなければならない。厄除け、方位除け、家内安全、商売繁盛、身体健全…祈祷申し込みなどあるか分からないけど準備だけはしなければ。毎日、夜中まで祝詞を作文していた記憶があるな。祝詞もテキストのコピペじゃつまらないでしょ?枕詞とか調べて自分の祝詞を作ろうって息巻いてたな。

●二つ目は授与品の準備
お守り、破魔矢などの縁起物。間に合わせないと。ただ、初めての初詣なのでどれくらいの数が必要なのか分からない。カタログを見ながらお守りを選ぶ。皆さんはお札やお守りって神社で作っていると思いますか?もちろん、そのような神社もあるかもしれませんが、ほとんどは授与品業者から納入しているところが多いんじゃないかな?今でこそデザインなどにこだわってお守りを奉製してますが、当時はそんな余裕もなくありきたりのデザインのお守りを頼んでしまったなぁ…それもロットがあって最低これくらいの数からみたいなのがあるんですね。お守りに神社の名前を入れるだけで納入費が変わってくるし、名前の入れ方も縫うか金箔押しかで変わってくる。縫うでは間に合わないので金箔押し。ただ、こすれると名前が消えてしまう。嫌だけど間に合わないし…何て言ったって昨年までのデータが無い。初詣にどれくらいの人が来るか分からない。完全な見切り発車のお正月なわけで。

●人材の確保
巫女です。巫女。お守りが間に合ってもそれを頒布する人がいなければどうしようもありません。巫女って本業の巫女とアルバイトの巫女がいるんですよ。本業は神楽舞とかできる巫女で中には神職の資格を持っている人もいます。基本的にアルバイトの巫女が多いですよね。さすがに茶髪、ピアスなどはNGです。お正月に時間のある友達ってそんなにいなかったので大変だったな。

そして初詣が始まった

出来るだけのことをして平成15年を向かえた。

社務所内はパニックだ。この頃の私は知識が不足していた。例えば、祈祷料。現在、どこの神社で祈祷を受けようとすればいくらからと書いてある。私の宮司はお気持ちでと言う方で、私もそれに習った方が良いのかなと思ったわけで。祈祷なんてほとんどありませんでしたが、申し込こむ方もいらして「祈祷料はおいくらですか?」と聞かれると私は「お気持ちで」と答える。そうすると受付でバタバタとしてしまうんですね。お互い困ってしまうんですよ。また、御朱印。当時は御朱印を知らなかった。いきなり帳面を渡されて一筆書いて下さいと言われてもどうして良いか分からない。前のページをみて印鑑だけ押す。今思えば、もらった方はがっかりしたろうな。申し訳ない。

祈祷料、お守りなどの初穂料は本来であればいくらと表示するものではないんですね。お気持ちで、が本来の姿なんです。金額で御利益が変わるわけではありませんから。ただ、経営という面と社務所の混乱を考えればしっかりと初穂料を決めなければならないなと学びました。

初めての初詣を振り返って

初めての元日、大晦日から夜通し社務所を開けましたが、日中はとくに行列もなく午後三時には参拝者も誰もいなくなっていました。初めての三が日、二日と三日は神社を閉めて一言主神社さんに助勤させていただきました。参拝者数、すごかったなぁ。うちだっていつかは…

さて、初めてのお正月は反省点だらけです。社務所(巫女さん)を混乱させてしまったこと。授与品が大量に余ってしまったこと。来年に向けて改善点は沢山ある。

このお正月で一番印象深かったのは、御祈祷するときに拝殿に上がった親子が私をみてクスクスと笑っていたことだ。威厳がない神職だったのだろう。一番改善しなければならないのは私自身だろうと感じた。

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