オピニオン

私が思う富岡八幡宮事件での一番の被害者は?

※この画像は富岡八幡宮のHPより引用させていただいております。新しい宮司のご就任おめでとうございます。

臨時ニュース

12月7日、この日は大洗にいました。神職仲間との忘年会です。一次会を終えてホテルの部屋で二次会の時にLINEのニュースが入ってきました。

『富岡八幡宮で女性が刃物で切られた』

その時、ピーンとくるものがありまして、切られたのは宮司じゃない?と思いました。もちろん、私のような者が富岡八幡宮の宮司や関係者と面識はありません。何というか、風の噂を聞いていたというか、まさか犯人が前宮司だとは思いませんでしたが……

コメンテーターはいい加減で言わないでほしい

事件の内容は皆様もご存じだと思います。なので、事件の内容は別にどうのこうのは言うつもりはありません。外部の人間には分からない事がたくさんあると思いますので。しかし、毎日のようにテレビでは神社、宮司、金、争いなどという見出しが出てましたね。神社のイメージダウンもいいところです。一生懸命奉仕している宮司さんたちにとっては甚だ迷惑な話だったでしょう。あなたたち、何やってんだよ!が本音だと思います。

ある神職の資格をもったスピリチュアルなコメンテーターがこんなことを言っていた。
「神社は宮司の権限を保つため、意見が割れないように責任役員は必ず奇数になってるんですよ!」
とか言って業界をディスってる。

何言ってんだよ。うちの神社は偶数だよ。適当なこと言ってさ。本当にテレビのコメンテーターは責任を持って発言してほしいよね。

もう一つ、テレビで気になったのが女性だから宮司になれないってやつ。本当にそんなことがあるのかなぁ?女性で活躍している宮司さんは大勢います。私の友人にも女性神職はいます。女性と言う理由だけ認めないのはあり得ないと思うんだ。富岡八幡宮クラスの神社はある程度の高い階位を持っていないと宮司には就任できないはず。詳しくはこちらの記事を。

私も何度か神社本庁に申請書などを提出していますが、基本的に神社本庁は役所なので申請が適正なものであればダメ出しをする様なことは無いと思う。

神社は世襲制ではない

宮司職を争ったと思われるこの事件ですが、客観的に感じたことを書いてみます。まず、事件の流れから見ると宮司職を一族で私物化していたと感じます。世の中の方々が勘違いをしているのが宮司は世襲制ではないと言うことです。一般的にそう思われてしまうのは、我々民社の様な神社は他に奉職する人がいないので世襲のようになってしまっているだけです。氏子さんも地縁のない人物が来るのであれば、昔から神社に奉仕している家系にお願いしたいと感じるのが自然でしょう。しかし、神社規則には一般的に宮司は世襲であるべしとは特に書いていません。宮司は神社の社格に合った階位を有する神職の中から責任役員会で選ばれた者が就任するんです。事件後に流出した前宮司の手紙には富岡性以外の人間は就任できないと責任役員会で決まっていると記されていました。現在の富岡八幡宮の宮司は富岡性ではありません。選ぼうと思えば選べるんです。茨城県内で規模の大きな神社でも世襲になっていないお宮は多くあります。宮司職を身内で争うなんて根本的な規則をも忘れてしまっていたのでしょう。宮司は選ばれて就任できる。それを忘れていたのではないかなと思います。宮司は自分で就任するのではなく、選ばれて就任するものです。

私が思う事件の本当の被害者

前回、私が考える宮司職についての記事を投稿しました。

その中で
『宮司が奉仕することでその成果をしっかりと氏子に還元できるか。社頭収入を増やすことばかりに腐心し、氏子と向き合う目を失っていけない。神社が祭礼を通して、氏子に生きがいや喜びを、地域の発展や交流を、そういうものをしっかりと信仰を通して感じてもらえるようにしなければならない。氏子の喜びが宮司や奉職する神職への信頼に繋がっていく。』
と書きました。

神社は氏子に支えられています。深川祭という大きなお祭りを行うならなおさらです。神職が神輿を担ぐわけじゃないですからね。氏子は深川祭を誇りに思っていたことでしょう。しかし、この事件で心に大きな傷を負ってしまったと思います。今後、十いや数十年は必ず記憶に残り話題にも上がってしまうと思います。暫くは祭礼に影を落とすでしょう。心からお祭りを楽しめないかもしれません。あれだけのお祭りを先人たちが築いてきたのに……。宮司職を拝命しながらこのような事態を起こしてしまった責任は同じ立場の人間として遺憾に思います。命をかけてまで宮司職を身内で争うなよ。

この事件の一番の被害者は氏子だと思います。

新たに就任された宮司のご活躍と富岡八幡宮の益々のご繁栄を心から祈りつつ、富岡八幡宮の氏子の皆様が心からお祭りを楽しめる日が来ることを願っております。

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