一般人が宮司になるまで

一般人が宮司になるまで ⑩責任役員会と総代会の違い

次の話の前に神社ってどのように運営されているかを話してみましょう。じゃないと皆さんには訳が分からなくなると思います。神社には責任役員会と総代会というものがあります。

責任役員会

先ずは責任役員について。神社には責任役員の定数が定められています。大体、4,5人くらいの神社が多いですね。私の神社は4人です。会社で言えば取締役みたいなものですね。そのうちの一人が代表役員になるわけですが、神社規則で宮司が就任することと定められています。なので、八坂神社の代表役員は私です。代表役員は責任役員会の議決を持って神社の運営や財産管理をしなければなりません。

責任役員会では以下のことが決めることが出来ます。

  1. 総代の選任方法
  2. 宮司、権宮司及び宮司代務者の進退
  3. 不動産及び不動産以外の基本財産或いは宝物などの取得、設定、変更或いは処分又は担保
  4. 借入及び保証
  5. 主要な境内建物の新築、除却その他の変更
  6. 境内地の変更
  7. 特別会計の決定
  8. 予算、補正予算の決定、決算の承認
  9. 財産目録
  10. 規則の変更
  11. 宮司が必要と認めたこと

などが挙げられます。このように責任役員に与えられた権限はとても大きいものです。また、このような組織をもって、宮司や住職、所謂聖職者が暴走しないように法的に関与する仕組みになっています。宮司の進退、財産管理などは責任役員会の決定事項です。宮司が不祥事を起こし看過できない法的な責任を負った場合にはクビにしようと思ったら責任役員会で議決しなければなりません。もしくは神社本庁規定に懲戒規程がありますので、それに抵触した場合には処罰される可能性があります。今話題のパワハラなんかも懲戒規程に入っていますね。ただ、宮司の進退に関しては、いくら責任役員会の議決があったからと言ってもそうそうスムーズには行きません。不幸にも、感情的な問題で議決される場合もあり、そのような行為は法人の運営に支障をきたすので宮司の進退には十分に注意しなければなりません。

八坂神社の場合は、氏子総代10名の中から3名の責任役員が選ばれています。本来であれば、責任役員と総代は兼ねない方が良いとされています。責任役員と総代の役目は違います。同じ人物が兼ねると役職の混同を起こし実務に不都合が起きやすくなる為です。ですが、地域の神社は兼ねるところが多いです。

では、総代会ってなんでしょう?

総代会

実は宗教法人法には総代についての記載はありません。必ずしも必要な機関とはされていないからです。実際に総代のいない神社も存在します。では総代とは神社にとってどのような存在なのでしょうか?

先ず、総代会は地域の有力者から選ばれる名誉職です。そして、神社本庁の憲章には総代について「神社の祭祀、信仰、伝統の保持振興について宮司に協力する」者、また、「神社の運営について、役員を助け、宮司に協力する」者と位置づけされています。総代が神社の運営に積極的に関わる事項としては責任役員を選任するという権限がありますが、それは代表役員を含みません。

このように責任役員会は神社の運営機関、総代会は神社の協力機関と言うことになります。

ただ、宮司として気をつけなければならないのは、運営機関である責任役員会では俗な面、つまり経営に関与してもらうのは当然ですが、聖なる面、つまり祭礼などを行うには総代会の協力が不可欠で、総代会を構成する各地区の総代は氏子の代表であり、総代会との良好な関係を維持するのも宮司の大切な役目です。神社は氏子によって支えられているわけですからね。例えば木の伐採などは責任役員の決定事項だとしても、神木は信仰の対象にもなるので総代にも事情を話し双方の理解を持って進めなければ大きなトラブルの原因になりかねません。

つまりは、聖と俗な話に戻りますが、代表役員宮司は双方の役割を認識しつつ、バランス良くしっかりと話し合いをし、神社運営の舵取りをしなければならないと言うことです。

神社は地域の心のよりどころとならなければならない大切な場所です。なので、私は少しでもトラブルを起きないように総代さんとは話さずに宮司との間で話し合いを続けました。しかし、次からは変わっていきます。

では、神社の運営を知っていただいた上で次の話に入りたいと思います。

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