各所への挨拶回りが終わり、8月からの講習会に向けて準備に入る。今回、私が受講するのは神職資格の中でも直階と呼ばれる一番下の資格だ。神職の資格は五段階に分かれる。長くなるのでまたそれは後で。直階では宮司にはなれない。なのでもう一回行って上の資格を取らねばならない。6月一杯で会社も辞め、8月から滞在する江古田のレオパレスを借りる。國學院大学には院友会館と呼ばれる宿泊施設もあったが集団生活になるのでやめた。相部屋でいびきされるリスクを考えればレオパレスの方が良い。
宮司は落ちる人なんていないから大丈夫だよと言うが、後でこれは大嘘だと知る。結構、落ちるじゃないですか〜。
7月に基礎知識を教えてもらうことになった。この月は祇園祭もある。お祭りが終わったら引っ越ししてすぐに講習会だ。思ったほど時間は無いな。
で、これ読んでおいてと渡されたのが『お宮に行こうー神社の基礎知識ー』と言う本。もう神社入門書中の入門書みたいな本。後は教えてもらったのは着物の着方。でも剣道やってたから大丈夫でしょ?って事でほとんど教えてもらわなかったな。母に教えてもらった。
「それじゃ作法はやっておかないとね。『進左退右起右座左』と『進下退上起下座上』が基本だからね」正座しながらズッズッと足を進める。結構キツい。足もシビれる「大麻の振り方もやっておこうか?左右左ね」見よう見まねにやってみる。後は自宅で祓詞を覚えておいて。これを押さえて後は大学で教えてもらいなさいと言う。下手に癖のついてしまった作法を教えるよりも無知の状態で大学の授業を受けた方が正しい作法を学べるからと言うことらしい。「大丈夫、下村君は大学で出てるんだから落ちることはないよ」と言うが後でこれは大嘘だと知る。結構、落ちるじゃないですか〜(←2回目)
大丈夫かな?と心配になったが時間も無いし言われたことだけはやっておこうと思っていた矢先に携帯が鳴る。宮司からだ。「下村君、神葬祭が入ったから手伝って」
……何を?
奉仕しましたよ神葬祭。仕事は大麻所役と典儀。白衣袴で浄衣に烏帽子に笏のフルセットで奉仕しましたよ。私のデビューは國學院大学に行って資格を取る前にお葬式というとんでもない緊張の中で行われました。
「良い練習になっただろ?お葬式は一人より二人いた方が栄えるからね」
…厳しい世界だな
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